さて、今日はちょっと趣向を変えて、ショッピングに出かけてみましょう。
ショッピングとは言っても物を買うことが目的ではありません。
物を買うのではなく、あなたに物を買わせるための「誘惑ワード」に注目して街を歩いてみてください。
この世の中はたくさんの誘惑にあふれています。
何気なく街を歩いているとき。仕事の行き帰りでコンビニに立ち寄ったとき。電車のなかでスマホをいじっているとき。部屋でぼ〜っとテレビを見ているとき…。
言葉巧みに考えられたキャッチコピー、広告、テレビCM、POPなどの販促物、看板、折り込みチラシなどを通して、売り手側の“魔の手”が、私たちのお財布をつねにつけ狙っているのです。
私たち消費者は日々、たくみに考えられた「誘惑ワード」に引き寄せられ、搾取されているのです。
誘惑にだまされるままお金を差し出していては、将来のための十分な財産をつくることはできませんね。
街にショッピングに出かけよう
街にある広告、チラシ、看板、POP、キャッチコピーなどに注目すること
売り手側の販売戦略を知り、それに対抗する方法を考えよう
あなたのお財布を守るのは、あなたしかいません。
以下にわたしたち消費者が注意すべき言葉「誘惑ワード」を紹介しますので、その言葉に隠された真意と対抗策について考えていきましょう。
目次
「無料」「お試し無料」
「無料」という言葉は、数ある誘惑ワードのなかでももっともシンプルかつ破壊力のあるフレーズです。
例えば、
「今すぐ無理で資料請求を!」
「無料ダウンロード(一部有料)」
…など。
でもよく考えてください。世の中に無料のものなんて本当にあるでしょうか?
商品やサービスを提供する側の人たちは、(それがボランティアではないかぎり)必ずなにかしらの形でお金を手にし、商売を成り立たせています。
その場では無料のように見えても、最終的には直接的・間接的になんらかの形でお金を使うことになるのです。
「無料」という言葉を見つけたときはすぐに飛びつくのではなく、どこがキャッシュポイント(お金を落とすポイント)なのか?を考えなくてはなりません。
どういう仕組みで「無料」を実現させているのか? どこで誰がお金を使うしくみになっているのか?
…をよく考えてから手を出すようにしましょう。
「月々●●円」「1日あたり●●円」
「1日あたりに換算すると80円です!」
…なんてセリフ、よく聞きませんか?
たしかに月々や1日あたりの金額になおされると、とても安いような錯覚におちいりますが
これは正真正銘、売り手側がしかけたワナなのです。
実は、この“1ヶ月あたり” “1日あたり”に換算するやり方は、古くから商売のセールストークに使われている常套句。
専門用語で「リフレーミング」と呼ばれるテクニックです。
ふつうに値段を言ってしまっては「ちょっと高いよな…」と感じてしまう料金を、
「1日あたりならたった●●円なんですよ!」という“別の視点”からものを見せることでうまく誤魔化しているわけですね。
ローン・分割払い・リボ払いなんかも、この心理現象をつかって高いお買い物をさせるためのワナなのです。気をつけましょう。
「限定」「今だけ!」
これもよく見かける商売の常套句ですね。例えば…
「数量限定300個のみ!」
「今ならたったの980円!」
「他には手に入らない限定品!」
「売り切れ御免!ここにあるだけ!」
…などなど。
「欲しいけど絶対に必要なわけじゃないし、別に今じゃなくてもいいかなぁ…」なんて迷っている人がこんな言葉を投げかけられると
「いま買わないと次はいつ手に入るかわからないからなぁ。よし!」と、ポンッと背中を押されたように買ってしまうのです。
しかしほとんどの場合は、限定感を出すためにわざと期間や在庫数を区切っているだけですので、だまされてはいけません。
これらのワナにひっかからないようにするためには、それがあなたにとって本当に必要なものなのか?を、つねに冷静に考えるクセをつけることです。
「売れ切れちゃったら、それは縁がなかったということ!」と割りきってしまうことが大切ですね。
「売上No.1」「みんなが使っている」
「90秒に1個のペースで売れている!」
「全米が泣いた感動作!」
「10人に1人が使っている!」
…なんてのもよく聞きますよね。
このように人気の商品や多くの人が買っている商品は、なんとなく良いものだと信じてしまいますよね。
実はこの「みんなに評価されているものは良いものだ」と無条件に感じてしまう心理的効果を、マーケティングの世界では“バンドワゴン効果”と言います。
確かに“売れている” “みんなに選ばれている”というのは事実かもしれません。
しかし、それがいまの自分に必要なものなのかというのはまったく別の話ですよね?
まわりに左右されることなく、本当に必要なものを、必要なタイミングで買う。
そんなスマートなお買い物を心掛けたいものです。
「品薄状態」「売れ切れ続出」
ひと昔前に「食べるラー油」や「ガリガリ君 なし味」が爆発的に流行ったのを覚えていますか?
みんなが殺到して売れ切れ続出!どこにも売っていない! …そんな状態が続いて話題になりました。
このように、
「売れ切れ続出でニュースになっている」
「希少性が高くてなかなか手に入らない」
そんな人気商品がもし目の前にあったら、自分にとってはそれほど必然性がないものであっても、ついつい欲しくなっちゃいますよね。
もちろん予想外の大ヒットで、本当に生産が追いつかないものもあるでしょう。
しかし一方で、わざと生産量をしぼり品薄状態にしておくのはマーケティングの定番戦略のひとつでもあります。
そうすることで意図的に人気があるように見せ、ニュースなどでの宣伝効果を狙ったりするのです。
「セール」「アウトレット」
わたしは絶対に「セール」「アウトレット」には行きません。
なぜなら、セール品やアウトレットにある商品は“売れ残り品”だからです。
定価ではなかなか売れずに残ってしまった微妙な商品だからこそ、値引きして売られているわけですよね?
そんな売れ残り品が値引きされていたとしても、それが微妙な商品であることに変わりがありません。
もちろん、あなたが心の底から「これは素晴らしい商品だ!この値段で買えるなんてまちがいなくお得!」と思えるのであれば買っても問題ありませんよ。
なにが言いたいかと言うと、値引きされているかどうかよりもその値段がその商品の価値に見合っているか?を見きわめましょうということです。
「一攫千金」「夢の億万長者」
よく宝クジの宣伝文句などに使われるこの言葉。
「総額6億円!夢の億万長者へ」
「あなたの人生、一発逆転!」
…とても魅力的な言葉ではありますが、
実際にはあなたが宝クジで1等が当たる確率なんて、“数万年買い続けても1回当たるかどうか?”という果てしなく気の遠くなる確率でしかありません。
つまり宝くじなんて当たらないのです。
その現実を知らない人は、「宝くじが当たれば仕事なんてやめて一生遊んで暮らせるのになぁ」なんて淡い夢をいだいてしまいます。
そして毎回せっせとお金をドブに捨てていくのです。(いや、宝くじの売上は公共事業などに使われるので、それはそれで社会のためになっているのですが…)
これが「宝くじは愚か者に課せられた税金」と言われるゆえんなのですね。
また、宝くじともに筆者が大嫌いなのがギャンブルです。
パチンコや競馬などのギャンブルが好きなひとは心のどこかで「ラクしてお金を手に入れたい!」と考えています。
しかし、基本的にギャンブルは胴元(パチンコツ店や競馬場)が儲かり客は損をするしくみになっています。
長い目で見れば見るほど、続ければ続けるほど、ギャンブルは確実に損をするのです。
そうでなければギャンブルは成り立たないのですから…。
こんなバカなことにお金を使うよりも、本でも買って読んだほうがよっぽど自分のためになりますよね。
「ポイント制」「スタンプカード」
お店が配る
「スタンプカード」
「割引券」
…などにも注意が必要です。
もちろん、これらを上手く活用できればお得にお買い物をすることもできます。
わたし自身もクレジットカードのポイントや、よく行くお店のクーポン券などはフル活用しています。
しかし、ポイントやスタンプを集めること自体が目的になってしまってはいけません。
あらかじめ買う予定だったものを買い、結果としてポイントやスタンプが貯まるのであれば良いのですが…
ポイントやスタンプを集めるために余計なものを買ってしまうのでは、本末転倒ですからね。
余計な買い物をしないコツとは?
このように、世の中は言葉たくみに消費者のお財布をねらう「誘惑ワード」にあふれています。
あなたがお買い物をする際には、これらの誘惑ワードの裏になにが潜んでいるのか?を冷静に見極める必要があるのです。
商品やサービスを売ろう!とする人たちにはそれぞれの思惑や戦略があります。
あの手この手とあらゆる手段を使って商品を売りつけようとしてきます。
これらの甘い誘惑のワナにだまされることなく、大切なお金を少しでも有効に使うために、
今回ご紹介した内容をしっかりと自分のものとして取り入れてくださいね。
5日目のポイント
街に出てウィンドウ・ショッピングをしながら、あなたのまわりの“誘惑ワード”に注目してみましょう。
買い物をするときは「いまの自分にとって本当に必要なものなのか?」「商品の値段と、そこから得られる価値は見合っているのか?」をしっかりと判断してください。
5日目のミッションはどうでしたか? 次回6日目では、ちょっと面白い実験をしてみますよ!
≫ はじめに|マネー・ブートキャンプとは?
≫ 0日目:マネー・ブートキャンプのルール
≫ 1日目:自動積立定期預金の口座をつくれ!
≫ 2日目:なにか1つ、好きなことをやめる!
≫ 3日目:財布・靴・トイレをピカピカに磨け!
≫ 4日目:とことん、計算しろ!
≫ 5日目:いつもと違う目線で買い物に行け!
≫ 6日目:丸1日、お金を使わないで過ごせ!
≫ 7日目:お金を作り出せ!
≫ 訓練を終えて